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第4話 共同作業の始まり

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-11-30 14:38:04

 ……えっと、普通は音を聞かれるのを嫌がるんじゃないのか?

 ……ドアくらい閉めよう? しかも、服を掴んだままなのか? ジョワァァァ……と音が聞こえてきた。ミレディは恥ずかしそうに顔を赤く染めている。恥ずかしいという気持ちよりも、怖いという気持ちの方が勝っているのかもしれない。

「昼食を一緒に作るか?」

 ユウが問いかけると、「つくる」と答え、服を引っ張られた。いや……トイレ中だろ!?

 あ、あれ……ぽふっと抱きしめられた。ああ……ほんとに懐かれたんだな。お世辞や面倒を見てもらうために言ってたんじゃない。そんな状況でトイレ中に抱きしめてこないだろう。下手すれば……また襲われるぞ。

 抱きしめてくるミレディの頭をユウは撫でた。

「もしかして、肉に喜んだのか?」

「……ちがう。……いっしょに料理する。」

 その言葉に、ユウは一瞬驚いた。

「あ、俺、料理下手だぞ。肉を焼く、肉を入れたスープくらいしかできないぞ。」

 すると、ミレディはふっと笑った。

「……ふふっ♪」

 おお……笑ったぞ、ミレディが! ユウはからかったり褒めたりせず、あえてスルーしておくことにした。

 調理開始。とは言っても、単純に塩と胡椒を振りかけて肉を焼くだけだ。

「よし。料理を開始する。ミレディ、配置に着け!」

「え? は、はい。」

 おお、アワアワしながらも、ミレディはテーブルに置かれた肉の前に立った。しかも、返事までしてくれた。

「肉に塩と胡椒を振りかけろ、ミレディ。」

「う、うん。あ、はい!」

 チラッチラッとユウを見て、分量を確認している。最初は勢いよく塩を掴みかけたが、ユウが『えぇ!?』という顔をすると、徐々に減らし、適量を振りかけた。

「あとは、焼くだけだぞ。一緒に焼くかぁ。」

「はぁい。」

 その返事は、いつもより明るく弾んでいた。ミレディが肉を持ち、目を輝かせながらユウを見つめる。

「おにくぅ……」

 可愛すぎだろ……。

 ユウは収納から薪を取り出し、準備に入る。

「よし! ミレディ、焚き火の準備だぁ!」

「わっ、は、はい……えっと、こぉ……かなぁ……う、うん。できたぁ!」

 ま、まあ、燃えればいいか……。

 ユウは手をかざし、ファイヤっと――ぼわっと薪に炎が燃え上がる。火が安定し、焚き火の温かな灯りが場を包み込んだ。

「よし! ミレディ、焼くんだ! じっくりゆっくりと回しながらなっ。」

「はいっ。」

 塊肉を四つに分け、大人のこぶしほどの大きさにした肉を串に刺し、遠火で焼く。鉄板で薄く切った肉を焼けばすぐに食べられるが、俺はこの雰囲気とミレディとの時間を楽しみたかった。だからこそ、時間をかけてじっくり焼く。遠火で焼くことで、スモークの香りが染み込み、深い味わいが生まれる。焦げた部分に生じるメイラード反応が、カリカリとした食感を際立たせ、風味を豊かにするだろう。それに――ミレディの手作り料理だ。不味いわけがない。

 俺はふと考える。暇だ。……だが、外へ出かけたら怒られるだろうか? 多分、パニックになるか……余計な不安を与えるのもよくないだろう。ならば、じっくり時間をかけて焼くか。30分から1時間ほど焼けばいい。もし生っぽかったら――また焼けばいい。

 ん……んっ!? えっと……ミレディさん、ぱ、パンツ見えてますけど? ワンピースだし、そりゃ座れば見えるか。

「そろそろ焼けたんじゃないか?」

「ほんとぉ!? おいしそー♪ いいにおいぃ。」

 ミレディの目がさらに輝く。炭火でじっくり焼かれた肉は、芳ばしい香りを漂わせながらジュウジュウと音を立てていた。

「今日は、昼は川で食べるとかどうだ?」

 ユウの提案に、ミレディがぱっと顔を上げた。

「わぁー! お外でたべるのぉ?」

 その喜びに満ちた声に、ユウは思わず微笑んだ。

 しかし、次の瞬間、彼女は首を傾げる。

「かわぁ? かわってなにぃ?」

 その問いに、ユウは少し驚いた。どうやら**"川"を知らないらしい**。まるで新しい世界を見つけた子どものような純粋な好奇心が、彼女の瞳に宿っていた。

 澄んだ青空の下、広がる草原を抜けてたどり着いたのは、穏やかに流れる川だった。

「ここが川だ。水がずっと流れていて、魚がいたりするんだぞ。」

 ミレディは目を輝かせながら、水辺に近づく。

「わぁぁ……! これが、かわぁ……!」

 水面が太陽の光を反射し、キラキラと輝いている。ミレディは興味津々でしゃがみ込み、そっと指先を水に浸した。

「ひゃっ……つめたいっ!」

 少しびっくりしながらも、楽しそうにぱしゃぱしゃと水を弾く。ユウはその姿を見ながら、ニヤリと笑った。

「川では魚を捕まえたり、泳いだりできるぞ。まあ、ミレディが泳げるかどうかは知らんけどな。」

「えぇ!? およぐのぉ!? すごぉい!」

 ミレディは両手をバタバタさせながら、水面をじっと見つめる。

「ふふっ……でも、いまはごはんだな。」

 ユウは焚き火の前へ戻り、じっくりと焼いた肉を串から取り出した。

「はい、ミレディの分。」

 ミレディは両手で肉を受け取り、くんくんと匂いを嗅ぐ。

「わぁぁ、いいにおぃ……!」

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